糖尿病の基礎知識

【1】糖尿病の基礎知識

■成人の4.7人に1人は糖尿病の可能性あり

『2007年国民健康・栄養調査』(厚生労働省)によると、わが国で糖尿病の疑いが強い人は約890万人、「糖尿病予備軍」は約1,320万人と推定されています。両者を合わせると、40歳以上の男性の34.6%、女性では28.2%にあたり、20歳以上の成人(1億420万人)の4.7人に1人は糖尿病の可能性があることになります。

また、それ以上に心配なのが、生活習慣に由来すると考えられる糖尿病患者が低年齢層にも増えていることです。

こう考えると、糖尿病は新たな国民病といってもいいでしょう。

■糖尿病とインスリン

糖尿病とは、簡単にいえば血液中の糖質(ブドウ糖)が基準値を超えてしまった状態です。飲食物から摂取した糖質は、体内でブドウ糖など単糖と呼ばれる最少単位にまで分解され、それらが私たちのエネルギー源として活用されます。この際に必要となるのがインスリンという物質で、血液中のブドウ糖を効率よく活用するためのホルモンの一種です。

このインスリンが十分に分泌されなかったり、本来の働きをしないと、糖がいつまでも血液中にとどまることになり、常に血液中の糖の量が高い、いわゆる「血糖値が高い」といわれる状態が続き、やがて糖尿病を発症します。

■怖い合併症

糖尿病は自覚症状がほとんどないことから「沈黙の病気」とも呼ばれています。そのため、知らないうちに高血糖の状態が続き、そのまま放置していると、糖尿病以外の二次的な病気を引き起こすリスクが高くなります。

一般に糖尿病の三大合併症といわれているのが「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」です。これらは細胞内に多量の糖が取り込まれ、細胞がダメージを受けるために起こります。

糖尿病の三大合併症

糖尿病網膜症

眼底にある網膜の部分の血管が糖に侵されてもろくなり、視力が衰えたり、最悪の場合は失明することもあります。また、白内障になりやすくなるともいわれています。

糖尿病腎症

腎臓には多くの毛細血管が集まり、血中からさまざまな老廃物をろ過して尿を生成していますが、その毛細血管が糖に侵されてボロボロになり、尿がつくれなくなってしまった状態が糖尿病腎症です。

いったん壊れた毛細血管を再生することはできないため、ひどくなると「人工透析」といって、機械を使って血液をろ過する必要があります。人工透析は週に2~3回の割合で受けなければならず、日常生活での負担も大きくなります。

糖尿病神経障害

合併症の中で、比較的早く自覚症状が出てくるのが、この糖尿病神経障害です。手足がしびれたり、感覚が鈍くなって怪我をしても痛みを感じにくい、などの末梢神経障害が主な症状ですが、その出方は人によってさまざまです。さらに筋力の衰え、発汗異常、立ちくらみ、胃腸の不調、インポテンツなど、自律神経系の症状が出ることもあります。

【2】「まさか糖尿病?」と思ったら

糖尿病には、ほとんど自覚症状がありません。合併症を起こすなど、かなり糖尿病が進行してからでないと、なかなか自分では気づきにくいのが特徴です。

しかし、日本の成人の4.7人に1人は糖尿病か、その予備軍に該当するとされている今、誰にも糖尿病になる可能性があります。では、どんな人が糖尿病にかかりやすいのでしょうか?

■糖尿病にかかりやすい人 その1

糖尿病にかかりやすい人には、以下の1~3の特徴がみられます。

  1. 1.肥満
  2. 2.高脂血症
  3. 3.高血圧

そう、いわゆる「メタボリックシンドローム」にあたる人ですね。今はまだかかっていなくても、いずれかかるリスクが高いと考えられているのが、これらの人たちです。糖尿病になってからも、合併症にも進むリスクが高くなりますから、1つでも当てはまるものがあったら、早めに医療機関で糖尿病の検査を受けましょう。

日本におけるメタボリックシンドローム診断基準

※日本におけるメタボリックシンドローム診断基準の図版入る(『糖尿病治療ガイド』P20より)
※日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」より[メタボリックシンドローム診断基準検討委員会:メタボリックシンドロームの定義と診断基準、日本内科学会雑誌 94(9):794-809, 2005より引用改変]

■糖尿病にかかりやすい人 その2

必ずしも上記に当てはまらなくても、成人を過ぎて、以下のア~カの項目が1つでも当てはまる人は、「まだ大丈夫」と自己判断せず、一度、医療機関で「ブドウ糖負荷検査」(空腹時に行う血液検査です)を受けることをお勧めします。

ア)生活習慣が乱れている(睡眠不足、食生活の乱れ、運動不足など)

イ)日常的に強いストレスを感じている

ウ)汗っかきで尿量が多く喉が渇きやすい

エ)目がかすんだり、視界がぼやけたりする

オ)たくさん食べているのに痩せてきた

カ)肉親に糖尿病患者がいる

検査の結果、糖尿病であっても、そうでなくても、医師や栄養士のアドバイスに沿って生活改善を行うことで、糖尿病の悪化や糖尿病への移行を防ぐことが可能になります。

【3】 糖尿病の食事療法

■糖尿病治療の中心は「食事療法」です

糖尿病治療の三本柱は「食事療法」「運動療法」「薬物療法」です。中でも最も重要で、中心的な役割を果たすのが食事療法です。

栄養バランスのとれた食事を1日3回きちんととりながら、摂取エネルギーを適正に抑えることで、血糖値を安定させ、適正体重を維持し、糖尿病の悪化と合併症への移行を防ぐことを目指します。

・食事は1日3食を決まった時間にとりましょう

食事と食事の間隔が長くなると、その間のエネルギーを確保しようとしてインスリンの働きが活発になり、脂肪を蓄えやすくなります。その反対に、規則正しく、決まった時間に食事をしていると、胃や脳がそのリズムに順応するため消化がスムーズに行われるようになり、合間合間の空腹感も起こりにくくなります。

■小腸と大腸の働きに注目しましょう

小腸の働き:消化酵素によって分解された糖質を吸収する臓器が小腸です。私たちがとった食物は小腸で糖(単糖)として吸収されることで、エネルギーとして活用できるのです。このことを「消化・吸収」と呼んでいます。

大腸の働き:小腸で消化・吸収されずに残った糖質は、大腸の中に棲んでいる腸内細菌によってさまざまな形に変えられ、糖以外の形で吸収されます。これらもまた、エネルギーとして活用することができます。大腸からエネルギーを得る形を「発酵・吸収」と呼びますが、糖として取り込むわけではないので、血糖値を上げたり、肥満の原因となることがありません。これが小腸での消化・吸収との大きな違いです。

このように、私たちは小腸と大腸、2つの臓器から違った形でエネルギーを得ています。それぞれの特徴は下図を参照してください。この2つの違いを理解したうえで、糖尿病の食事療法を行っていくことが重要です。

■「還元麦芽糖」の働きをご存じですか?

「還元麦芽糖」はトウモロコシなどのでんぷんからつくられる、砂糖よりも低カロリーの甘味料で、すっきりした甘さが特長です。糖尿病の食事療法では、40年もの長い間、「還元麦芽糖」が使用され続けています。その理由をご存じでしょうか?

・小腸での消化・吸収がほとんどありません

「還元麦芽糖」は小腸ではほとんど消化・吸収されません。小腸で糖として吸収されることがないということは、「還元麦芽糖」を摂取しても、糖尿病で最も注意すべき血糖値やインスリン分泌への影響がほとんどないということです。

・大腸で発酵・吸収されます

小腸で消化・吸収されなかった「還元麦芽糖」は、そのまま大腸に送られ、腸内細菌によって分解され、さまざまな形に変換(発酵)されます。その代表的なものが有機酸(短鎖脂肪酸)で、酢酸、プロピオン酸、酪酸などを含みます。有機酸の形で大腸から吸収されるとエネルギーとして使うことができますが、糖の形をとっていないため、血糖値やインスリン分泌への影響はほとんどありません。さらに、吸収された有機酸は大部分が炭酸ガスと水分に分解されてしまうので、太る原因にもなりにくいのです。

このような理由から、「還元麦芽糖」は糖尿病の人が摂取する糖分として、非常に適切なものと考えられているのです。

甘いものは糖尿病の大敵!?

私たちが満腹感を感じるのは、摂取した飲食物に含まれる糖質が体内でブドウ糖や果糖などの単糖に分解され、吸収され、血液中に取り込まれたブドウ糖によって血糖値が上がり、一定以上になると、満腹のシグナルを脳に出すからです。こうして上がった血糖値を下げる働きを持つのが膵臓でつくられるインスリンです。しかし糖尿病の人は、インスリンの働きが悪いため、血糖値がすぐには下がりません。さらに、余分なブドウ糖は肝臓で脂肪に分解されて体脂肪として蓄えられることになり、肥満につながります。

つまり、摂取する糖質が多いと、健康な人に比べて、血糖値が高いまま体内で維持され、また肥満にもつながりやすいので、糖分の多いものの代表である「甘いもの」が大敵だといわれているのです。

【4】糖尿病の食事のポイント

(監修:川崎医療福祉大学 臨床栄養学科 寺本房子 教授)

■適正なカロリーの中で栄養素のバランスを考えましょう

適正なエネルギーの中で、たんぱく質や脂質、糖質、ビタミン・ミネラルなどの栄養素のバランスを整えます。

具体的には1日3食の食事ごとに、主食(ご飯、パン、麺類)、肉、魚、卵、豆類、野菜類をそろえます。

糖尿病治療のための「食品交換表」を参考にしながら摂取する目安量を決めると、より適切でバランスのよいメニューを組むことができるでしょう。

下記の表は、糖尿病の食品交換表を使用して考えた食品の選び方の一例です(具体的な内容については、管理栄養士にご相談ください)。

■食物繊維を上手に利用しましょう

食物繊維は、血糖値やコレステロールの上昇を抑える働きがあることで知られている栄養素です。私たちの体内で分泌される消化酵素では分解されない成分であるため、ほとんどエネルギー源とはなりませんが、健康維持において非常に重要な働きをします。1980年代頃から「第六の栄養素」として注目されるようになり、研究が進んだ今では、大腸がんをはじめとする大腸疾患、糖尿病、脂質異常、高血圧などの改善効果が期待されています。

食物繊維には大きく分けて水溶性と不溶性のものがあり、いずれも雑穀、野菜、果物に多く含まれます。特に水溶性食物繊維は、腸内細菌との相乗効果で私たちの腸内環境を好ましい状態に整える働きがあるので、野菜は1日350g、果物は150~200gを目安に、毎日、積極的に摂るようにしましょう。

食物繊維の特長

■保水性
水分を抱え込み、容量を増す性質があり、胃や腸にある内容物の「かさ」を増やします。
→食べ過ぎを抑えます。
→便を適切な軟らかさに保ち、便量を増やして腸を刺激し、排便を促します。
■吸着性
腸の内容物に含まれる不要な物質を吸着する性質があります。
→過剰なコレステロール、胆汁酸、イオンなどと結合して、そのまま排泄します。
■粘性
水分を吸収して粘性を増し、ゾル(流動性のある軟らかい塊)を形成する性質があります。
→粘度が増すにつれて栄養素(糖質、コレステロールなど)の拡散を抑制し、その吸収を緩やかにします。いくつかの食物繊維には、血糖の急激な上昇を防ぐ働きがあることも確認されています。

 

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