2012年10月インタビューオリゴ糖の活用で精神科患者さんの
排泄介助を大幅に軽減

特定医療法人 大阪精神医学研究所
新阿武山病院
栄養・給食室 室長
井戸由美子先生 精神科 栄養・健康サポート研究会http://www.geocities.jp/psy_nst/

専門性の高い地域精神科医療として「『寛解』から『回復』へ」を掲げ、様々な治療を工夫している新阿武山病院で、十数年ものあいだ栄養士として活躍。現在は、栄養給食室室長として、衛生管理、栄養管理全般の仕事を含め、入院患者、外来患者の食事管理、栄養指導を行っている井戸由美子先生に、乳果オリゴ糖を主成分としたオリゴワンを中心にお話を伺いました。

こちらの病院のように、認知症をはじめとする精神科関係の病院では、便秘は大きな問題になっているのでしょうか?

精神科の患者様は、どうしても食生活がアンバランスになりがちで、野菜不足になったりします。それに加えてお薬の副作用による影響もあり、便秘の患者様はとても辛い状態になります。便秘がひどくなり、数種類の下剤を服用されている方も少なくありません。下剤や浣腸を使う場合、自然の摂理ではないので失禁したりトイレの回数も多くなったりしますから、本人も辛いですし、介護の方も大変です。

また、長期的に下剤や浣腸を使い続けると腸そのものの機能が失われていきます。その結果、結腸粘膜の知覚を麻痺させ、ひどい場合は、腸が機能障害を起こす麻痺性のイレウスにもつながります。あまり知られていないのですが、精神科ではイレウスは大きな問題です。

H+Bのオリゴワンはどのようなきっかけで使い始められたのですか?

便秘に対しては、通常は下剤などのお薬で対処しますが、私たちは食品でなんとかしたいと思っていました。これまでもきなこやヨーグルトなど、様々な対処をしてきたのですが、なかなか大きな成果は見られませんでした。

H+Bさんのオリゴワンを使い始めたのは3年ほど前でしょうか、H+Bさんが来られて、オリゴワンヨーグルトサワーを提案してくださいました。食品で便秘が解消できないかずっと考えていましたので、非常にいいタイミングでしたね。でも実はオリゴ糖も以前に試したことがありまして、その時のオリゴ糖(市場でよく見るイソマルトオリゴ糖)では効果が得られなかったので、半信半疑で試してみました。

効果はいかがでしたか?

最初は、栄養給食室より食事の一部として使い始めました。たとえば認知症の患者様の場合、何故か怒ったり、食欲がなかったりしたときに、便秘であったということがあります。そのままにしておくと、突然の嘔吐やイレウスと、生死にかかわりますので、便秘といえども大変なことになります。

認知症の患者様の場合、薬の副作用で便秘になるというより、運動量や食事量の影響が大きいと考えられていますので、劇的な効果がありました。

何よりも、看護や介護スタッフが喜んでくれました。認知症患者の介助には、食事介助、入浴介助、排泄介助という3つがあります。中でも排泄介助はお互いに負担の大きい作業です。当病院では、この排泄介助がとても楽になったと言われました。そして、手応えを実感したスタッフも自分のために使い始めました。

また、実際に患者様に効果が現れると、カルテに記録が残ります。するとドクターがその効果を知ることになり、外来の患者様にも勧めるようになりました。

そうした流れで、乳果オリゴ糖の効果が病院の内外に広まっていきました。今では、外来の患者様が栄養給食室に買いに来られたり、個人的にもいろいろな人にお送りしているほどです。みなさんリピーターになられている方が多いです。

乳果オリゴ糖シロップは、井戸先生の発案で商品化されました。パック飲料よりも使いやすいですか?

飲料だとパック1本に3グラムの乳果オリゴ糖が入っていますので、ドリンクとして飲んでも効果はしっかりとありました。しかし薬の影響で便秘がひどく、乳果オリゴ糖を6g~15g位摂取しなければならない患者様にとって、乳果オリゴ糖を摂るために、ドリンクを何本も飲むのは辛いですよね。なので、効果が分かった時点で、乳果オリゴ糖を効率よく摂れる商品を、提案しました。現在は、乳果オリゴ糖のシロップを作っていただき、そちらを重点的に使わせていただいています。(価格的にも安価で摂取できるので給食材料費から出す事が出来るメリットもあります)

オリゴ糖は、ビフィズス菌と深い関連があると聞きますが?

オリゴ糖はビフィズス菌の餌になりますので、ビフィズス菌が増えます。腸内にある菌の全体数は変わりませんが、ビフィズス菌に代表される善玉菌の占有率が増えることで、腸内にある菌のバランスが良くなります。

オリゴ糖は大腸の栄養だと言ってもいいでしょう。ビフィズス菌が餌として食べて、短鎖脂肪酸(オリゴ糖を腸内細菌が発酵することにより生成され、上皮細胞の増殖や粘液の分泌、水やミネラルの吸収のためのエネルギー源として利用される。また腸内を弱酸性の環境にすることで有害な菌の増殖を抑制する、大腸の粘膜を刺激して蠕動運動を促進する、ヒトの免疫反応を制御するなど様々な機能がある)となり、大腸の栄養となり、腸を刺激し、コレステロールの上昇を抑えるといった役割を果たします。大腸にとってオリゴ糖は、とても大事な存在です。

ラクトスクロース(乳果オリゴ糖)は、馴染みがないものだったのでしょうか?

もちろんオリゴ糖の効果は誰でもよく知っていますが、意外にオリゴ糖の種類や詳しい内容までは知っている人は少ないと思います。これまでラクツロース(腸の機能を改善する、肝硬変症など肝不全のときの高アンモニア血症の治療薬)は処方されていました。肝硬変の患者様にアンモニアを下げる薬としてです。良く考えれば作用は同じなのですが、これまでこのラクトスクロース(乳果オリゴ糖)にはつながりませんでした。また、乳果オリゴ糖は、他のオリゴ糖に比べても低価格なので、その点も取り入れやすかったですね。

一般の人がラクトスクロースを摂る場合、効果的な飲み方や調理の仕方などはありますか?

コーヒーやお茶に混ぜて飲むのが一般的でしょう。少し甘いですが、みなさま喜んで飲まれています。当病院では、乳果オリゴ糖入りのお茶を一度に5杯までと決めています。ヨーグルトや味噌汁に入れてもいいでしょう。血糖値に影響はありませんので、糖尿病の患者様でも問題ありません。

小さじ一杯を一応の目安にしていただいていますが、基本的には効き目があるまで好きな量を使ってくださいとお話しています。食品ですから厳密にしなくても大丈夫です。また、水分と一緒に摂るようお勧めしています。しかし、長年苦しんでいる方はそれでも厳しい場合もありますので、下剤を大量にお使いになる前に摂取されることをお勧めしています。

飲料タイプは施設の利用者様などが水分補給もかねてよく飲まれるようですが、ご家庭ではシロップタイプを活用される方のほうが多いようです。特に分包タイプのシロップは1回の目安量が使い切りなので、清潔で量の調整もしやすいですし、持ち歩くこともできますから。

また、すぐに効果がないと言って諦めずに、しばらく続けてみてください。少量でも摂り続けることで腸の状態は良くなっていきますから少しずつ改善していきます。お年寄りの場合、すぐには良くならない人もいるのですが、悪くなることはなく、使えば使うほど効果が高まっていく印象を受けます。

これからの抱負などございましたらお聞かせください。

本当にたくさんの方々が便秘で困られています。たとえばある患者様に説明にいくと、それを周りで聞いていた人が私も便秘で困ってますとおっしゃいます。また、学会などでよく質問を受けるのですが、人工透析をされている方、泌尿器の患者様、痛み止めをたくさん使われている方などが便秘で困られている場合が多く、その様な方たちにも食品ですので安心してお使いいただけるのではないかと思っています。

そして、何よりもっと一般の人たちが買いやすくなってほしいですね。

また、当院で言えば、ドクターが診療しやすいように、看護師が看護をしやすいように患者様の身体状態を整えることが私たち栄養士の役割であると考えていますので、チーム医療をこれからもすすめていきたいと思います。

入院のメリットはチーム医療に尽きると思います。それぞれの職種の人が力を発揮していくことで、1+1が5にも10にもなっていくことが大事ではないでしょうか。

当院では、それぞれの病棟で、ドクター、看護師、栄養士、介護福祉士、薬剤師などが連携しており、そのメンバーでカンファレンスして治療方針を決めていきます。そういう意味でも、このオリゴ糖によって、看護師さんにはすごく感謝されましたし、ドクターも助かると言ってくれています。

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