臨床現場レポート|株式会社H + B ライフサイエンス情報誌 第7号2012年4月発行

乳果オリゴ糖を用いた便秘改善の試み(篇1報)


(医療法人回生会山鹿回生病院 野満菜穂子 管理栄養士、渡辺真 管理栄養士)

●はじめに

当院は、精神科、神経科、内科、心療内科を診療科目とする病床240床の病院で、栄養管理課スタッフは日々の栄養管理業務に取り組んでおります。

入院患者様の便秘は、薬剤、ADL-運動能力の低下、食事・水分摂取の減少といった因子に大きく左右されます。

当病院における緩下剤・下剤の使用率は65%、内服による緩下剤投与後も排便困難が見られるときには、座薬または浣腸・摘便などによる排便コントロールが施行されています。

そこで栄養部門として Γスムーズな排便コントロールに寄与する」ことを目標に、乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)を用いての取り組みを行いました。

下図は、各種オリゴ糖の比較表で、当病院におけるオリゴ糖選択の基準としたものです。

●研究の概要

今回の研究に乳果オリゴ糖を選択した基準として、【1】腸内環境を改善する効果に優れた難消化性オリゴ糖であること、【2】少量で効果が期待でき、摂りすぎた場合でも下痢を起こしにくいこと、【3】食物繊維に比べ、優れたビフィズス菌の増殖効果が見られること、【4】経済性、が挙げられます。

研究にあたり、オリゴ糖導入前に、院内の排泄ケア委員会・栄養管理運営委員会・NST合同研修会を開催し、各職種・部門の知識や理解に努めました。

また、気になる食費ヘの影響に関しては、効果が期待できるとされる7gの使用で、1日約10円の食費アップとなりますが、これには栄養補助食品の見直しなどで、対応しました。

以下の図2は当院の入院患者様の内訳、図3は今回の研究期間に使用した、緩下剤・下剤の種類です。

下図に方法を示します。対象は、緩下剤・下剤を使用されている入院患者様の中から27名を無作為抽出(男性9名、女性18名)しました。乳果オリゴ糖の導入方法は、残飯量が少ない朝食の味噌汁への添加としました。

下図は対象者様の排便回数の変動です。若干ではありますが、導入前の1月と比較して、男女とも増加傾向にあります。

下図に薬剤の使用数の比較を示します。男性においては減少および安定傾向が見られますが、女性については減少と増加を繰り返し、最終的には多少の増加傾向が見られました。

下図は年齢別比較です。60歳末満のグループに関しては、徐々に経時的変化(改善傾向)が見られましたが、4カ月後の5月には思惑が外れた結果となりました。

下図は自立度ランク別排便回数の比較です。活動量の多いJランクとAランクのグループに排便回数の増加が見られました。

下図は自立度ランク別薬剤使用数の比較です。活動量は薬剤の使用量の増減には結びつかないという結果になりました。

下図は全入院患者様を対象に、導入前の1月と、導入経過4カ月後の5月の薬剤使用数の変動状況を示しています。

l47名中l5名(10%)において薬剤の増加が見られたのに対し、40名(27%)において減少が見られました。

下図は一般病棟の患者様を対象にしたアンケート結果です。導入後、約2カ月では、1週間以上便通のない便秘患者様がゼロになり、さらに7カ月後には、便通が週1回しか見られない患者様もゼロになるという結果を得られました

●まとめ

無作為抽出したグループにおいては、期待していた薬剤使用量の大幅な減量には到達できなかったものの、排便回数上昇という結果を得ることができました。

さらに、全患者様対象の薬剤使用量においては、147名中減少した方が40名、増加した方が15名という結果を得ています。

これらの結果から、乳果オリゴ糖使用による有効性は見られるものの、腸内環境の整備にはもう少し時間を要するものと思われます。現在も引き続き乳果オリゴ糖を用いた食事提供を実施しており、今後に期待をかけたいと考えています。

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