臨床現場レポート|株式会社H + B ライフサイエンス情報誌 第5号2011年8月発行

腸内戦隊オリゴ糖II~新たなる戦い~


(肝属郡医師会立 介護老人保健施設みなみかぜ 増田博幸 介護福祉士)

●はじめに

当施設の排泄グループでは、昨年度、オリゴ糖での排便環境改善に取り組みました。対象者様も少なく、短期間での試みではありましたが、約半数の方に何らかの効果が見られたため、今年度は栄養士とも連携を図り、全入所者様を対象に、毎日オリゴ糖の提供を行うこととしました。

味や摂取方法の検討を繰り返し、また個別的なかかわりをすることで、排便状況にも変化が表れてきましたので、これまでの経過を報告します。

●研究の概要

研究目的

  1. 排便習慣の改善と腸内環境の改善。
  2. 全入所者様への確実な水分補給。
  3. 緩下剤の使用軽減。
  4. 適度な運動の重要性。

研究方法

  1. 研究期間は2010年5月1日~現在。
  2. 1日1回、オリゴ糖を全入所者様に飲用してもらう。
  3. 運動を取り入れた対象者様には個別の運動を定期的に実践してもらう。
  4. アンケート・聞き取りの実施、摂取状況の改善・改良。

対象

  1. 全入所者様を対象とする。
  2. 運動を取り入れた対象者様…6名(T.K氏、M.S氏、T. F氏、H. N氏、M. N氏、M. A氏)。

●結果・考察

今回の取り組みにおいて、全入所者様にオリゴ糖入り飲料を提供することを決めたものの、オリゴ糖への誤った知識、味など飲み物自体の問題、さらに糖尿病の方が甘さに対して不安を訴えるなど、なかなかスムーズに受け入れてもらうことはできませんでした。

そこで、聞き取り調査やアンケートを実施し、その結果をもとに、改善、改良を繰り返し、また栄養士からも機会を見て入所者様への説明を行うなど、環境づくりを試みると同時に、確実な水分補給を行うために季節に合わせた飲み物の提供も開始しました。

その結果、病状により中止になった方、説明を聞いた上で拒否された方以外は全員飲用されるまでになりました。

3日間排便のない方の人数は5月に比べ6月は25%減、7月は42%減、8月は60%減となりました。また、4日間排便のない方においても44%減、60%減、66%減、さらに5日以上でもほぼ同様の結果が出ました。

それに伴い、ラキソベロンなどの緩下剤の使用量も軽減し、オリゴ糖による腸内環境、排便習慣の改善は確実な効果がありました。

運動を取り入れた対象者様については、緩下剤を使用しなければ排便のなかった方が、毎日施設内の散歩を行うようになってからは、自然排便が見られるようになり、緩下剤を使うことはなくなりました。

運動開始後の数週間後から、内服や緩下剤を必要としない腸内環境、排便状態になったことを踏まえると、運動の必要性、関係性も大きいと考えられます。

反面、効果が確認できなかった事例もあり、個々の生活習慣や運動方法など、さまざまな要因が絡んでいることも浮き彫りとなりました。

●おわりに

昨年度の結果を踏まえ、今年度は経費の問題やオリゴ糖に対する理解や改善を得て、全入所者様にオリゴ糖を提供する環境づくりから始めました。

試行錯誤しながらも、毎日オリゴ糖を摂取してもらうことで、明らかに自然排便が増えるなど、腸内環境、排便習慣の改善につながり、緩下剤の使用を軽減できました。

今後、オリゴ糖の量の検討や個別水分補給の徹底をすることで、現状以上の排便環境の向上が期待できると考えています。そのためにも継続してオリゴ糖を提供し続けることが必要だと思われます。

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