インタビュー:トレイルランニング駿谷明宏様

危険を伴うトライアスロンやトレイルランニングで一歩先に行くには、栄養補給も慎重な準備が欠かせない。

今後の主な予定レース
4/23 全日本トライアスロン宮古島大会
7/16 おんたけウルトラトレイル 100km
8/4 富士山頂往復マラニック 112km
9/10 イタリア・トルデジアン 330km

自然を楽しめるのがトレイルランニングの魅力

トライアスロンやトレイルランニングを始めたきっかけを教えていただけますか。

社会人になってからはスキーをやるくらいで、30代はほとんど運動していませんでした。当時ダイエットのためにスポーツジムに行ったのが40歳くらいですから、走り始めたのは最近なんです。トライアスロンをはじめて4年ほど、トレイルランははじめて3年半ほどです。

ジムに通い始めたときは、その後トライアスロンやトレランをやることになるなんて、まったく想定していませんでした。でも、ジムで運動する知り合いができて、その中には走る人たちがいて、次第に一緒に走るようになりました。そうすると、トライアスロンやトレランをやっている人たちとも知り合って、輪が広がって仲間に入れてもらった感じです。

ただの趣味では終わらず、大会に出ることになったきっかけはありましたか?

段々と欲が出てくるからではないでしょうか。短い距離のレースに出たら、次はもう少し長いレースに出てみようか、など欲が出てくるんですよ。あとは、何かの大会に出場したら思っていたより順位やタイムが良かったりすると、次はもう少し練習したらもっといけるというモチベーションになりますよね。

私は走り始めて1年後くらいから大会に出ていました。結果を求めず、出るだけなら、キャリアがなくても出られますからね。

初めて参加したトライアスロンのレースは、「五島長崎国際トライアスロン大会」のミドルタイプ(スイム2キロ、バイク124キロ、ラン21.1キロ)でした。その初めてのレースで、なんと年代別の3位に入賞してしまい、俄然やる気になりました。

トライアスロンとトレイルランニングはまったく違うものですか。

持久力という点ではトライアスロンとトレランは同じだと思いますが、トレイルランニングはほとんどが走る運動で、トライアスロンはスイムとバイクとランというまったく違う3種類の運動をしなければならないのが大きな違いです。トレイルランニングは、山を走ることに特化しているので、体重が軽くないと厳しい競技です。トライアスロンは、体重があっても大丈夫で、むしろ体重があるほうがバイクは速いでしょう。求められる筋肉も違いますから、トレイルランニング専門の方とトライアスロン専門の方では、体型が違います。

トライアスロンとトレイルランニングは別物なんですが、トライアスロンの練習の一環としてトレイルランニングをやる方もいらっしゃいます。また、トライアスロンからトレイルランニングに転向するという方もよくいらっしゃいますね。

駿谷さんにとってトレイルランニングの面白さは何ですか。

普段は都会で生活して仕事をしている私にとって山は非日常の世界なので、走っていて単純に気持ちがいいんですよね。

それに、トライアスロンやマラソンでは、どうしても順位やタイムが気になるんですが、トレイルランニングは、自然の中で楽しめればいいという気持ちが強く、あまり順位やタイムが気になりません。

フルマラソンやトライアスロンでは、そういうことはほとんどないんですが、トレイルランニングでは、ずっと一人という時間帯がよくあります。例えば、「上州武尊山スカイビュートレイル」は、距離が約130kmあって、丸一日寝ないで山を登ったり下ったりして山の中を巡るんです。夜中に1人で山道を登るなんて、独特の体験だと思います。

東京近郊では、トレイルランニングのメジャーな練習場所は高尾山や丹沢です。でも、日本アルプスに行ったときは、自然の美しさに圧倒されて日本にこんなところがあるのかと思ったほどです。

トレイルランニングの練習は、どのような内容でしょうか。

練習は、一日中、山の中を走るしかないですよね。普段はトライアスロン用として仲間と一緒にランやバイクの練習をしていますが、イタリアには行程が330kmというトレイルランニングのすごいレースがあって、今年はそれに出場する予定です。330kmなんて初めての距離ですから、相当練習しないといけません。今年はその大会に向けて一泊二日〜二泊三日で北アルプスや南アルプスを縦走したいです。

今年は月に1回ペースで大会に出場する予定です。もちろん本番として出る気合の入った大会もありますが、本番に向けた調整や練習という目的で出るレースもあります。私にとって大会に出ることも練習の一環なのです。

競技では、必要な栄養を慎重に準備

当時は医療用としてしか販売していなかった粉飴をどのようにお知りになりましたか。

3年ほど前から粉飴の粉末を使っています。それ以前のトライアスロンをメインにやっていたときは、主にジェルを使っていました。ジェルの値段が高いことが気になってネットで情報を探したら粉末の粉飴を混ぜて自作ジェルをつくっている人がいたんです。それで粉飴の存在を知りました。

そのころから、どんな栄養をどのように、どのくらいのペースで補給すればいいのか独自に研究しましたね。

トライアスロンではどのような補給をしていますか。

私の場合は、練習のときは固形物で栄養をとることが多いですね。何も口に入らないような切羽詰まった状態にはなりませんから。大会が近づくと粉飴を入れたドリンクやジェルをつくって、栄養補給のシミュレーションもしながら練習します。

本番のときは、ボトルにジェルや粉飴やアミノ酸などを入れて水を混ぜて飲みやすくしたものを使います。バイクのときには栄養補給するものをバイクに取り付けることもできますし、途中にエイドでボトルを交換したりすることもできます。

最後まで力を出し切るために、ランのパートでも栄養補給は必要です。暑くて脱水ぎみで疲労がたまっていることが多いので、ジェルの封を切るのも面倒だし、ジェルを噛んで飲み込むのも疲れます。ですから、私は小さなジェルボトルを2つ用意して、ちびちび飲むというやり方です。

トレイルランニングでは、どのような栄養補給の装備をしていますか。

大会のときは、消費カロリーや必要な摂取カロリーを計算して、それを全部ジェルとドリンクで栄養を補給します。ただ、消費カロリーをしっかり補おうとすると、ものすごいカロリーになるんです。それを時間内に摂取したら、胃がやられてしまうので、1時間に240キロカロリーを上限に自作のジェルを持って走ります。

距離によって内容は多少変わりますが、先日参加した130kmのスカイビューでも、1時間に240キロカロリーを摂取するようにしました。その大会は数十キロおきにエイドもあり、そこで補給するエネルギーも考えて、装備するジェルの量を決めました。そのときは、荷物に10個か15個くらいのジェルを入れてスタートして、途中の補給所で同じくらいの量を再度詰めました。トレイルランニングのときは、そのジェルの封を切ってそのまま食べますが、疲れてから一気に飲むと胃がやられてしまうので、時計を見ながら30分から1時間おきくらいのペースでエネルギー補給をします。本当はアラームを鳴らすなどして、きっちり一定時間ごとにとればいいんでしょうけれど、レース中は時間の感覚が鈍って忘れやすくなります。過去には、胃がおかしくなって、口にいれたものが消化されないのに胃だけが膨れて、ハンガーノック状態になったことがあります。ですから、同じエネルギー量をとるにしても、一気に飲むより、少しずつ飲むほうがいいです。

小さめのジェルのほうが使いやすいですか。

たしかに、小さいと口に入れやすいですし、胃のことを考えれば、50キロカロリーくらいの小さなジェルをこまめにとるといいのですが、ゴミとなるパッケージが増えるという問題が発生します。トレイルランニングのときは、とにかく身軽でいたいので、パッケージのゴミもできるだけ少なくしたいのです。悩ましいですね。

粉飴の粉末だけを持って走り、途中の水道で水をもらって粉飴を溶かすというのはいい考えですよね。水はどこかしらにありますから。レースでは時間の制約があって無理かもしれませんが、私も普通の登山のときにでも、ボトルと粉末だけを持っていくのをやってみようと思っています。

粉飴の良さはどういうところだと思いますか。

まず、価格の安さですよね。私は栄養補給を作業だと思っているので、美味しいに越したことはありませんが、特に味を期待しません。でも、市販のものは味が濃いですよね。

粉飴は成分がシンプルで、自分の好みに調合して使うと、自分でわかっているという感覚があるので安心ですよね。

ダイエット目的でトライアスロンにチャレンジする方もいらっしゃいますが、さらに糖質制限ダイエットをする方もいます。どのようにお考えですか。

私も普段の生活では炭水化物を抑え気味の食事をとりますが、運動しているときは別ですよ。運動していない方がダイエットのために糖質や炭水化物を減らすのは理解できますが、私の場合はパフォーマンスが目的ですから、それに必要な糖質や炭水化物はちゃんととります。栄養について知りたいと思ったら、ネットには個人のブログから専門家の研究発表まであるのに、テレビの情報番組の影響が大きいんでしょうね。

トライアスロンやトレイルランニングをしていると、日常生活では気が付かなかったエネルギーの大切さについて身をもって知ることになります。長いレースで補給がうまくいかなくなると、筋肉分解が起こります。そうすると、ものすごい筋肉痛になるんです。レース後はもちろんですが、レース中からもすごく痛くなってパフォーマンスが上がらなくなるんです。そういう経験をして何とかしようと思って調べると、栄養の正しい取り方に行きつきます。

トライアスロンやトレイルランニングをする方が増えているようです。

ここ数年でとても増えましたね。NHKでも耐久レースの番組があったり、ジャングルや砂漠のレースにも日本人が出場したり、年齢層も幅広くなりました。年代でいったら40代がボリュームゾーンかもしれないですね。経営者でトライアスロンをしている人も多い気がします。ビジネスの成功とトライアスロンにどれくらい関係があるかわかりませんが、ビジネスにしてもトライアスロンにしても、集中できるタイプなんでしょうね。

トライアスロンをやる人の中には、楽しめればいいという人もいれば、頑張った末の結果を知りたいという人もいます。どちらに軸足を置くかによって取り組み方が変わってきます。目標に向かってひたすら頑張るという点では、経営者がトライアスロンに向いているというのもわかる気がします。

トライアスロンやトレイルランニングは、屋外で自然を相手にするスポーツなのでけがをすることもあるし、危険も伴います。ですから、栄養補給も慎重に準備をしておかないといけないと思います。行き当たりばったりでもある程度のところまではいけますが、その先にいくには慎重な準備が欠かせません。

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インタビュー:ウルトラマラソン&トレイルラン藤田 慎一郎 様

フリーランスの写真家として活動される中、健康のためにとはじめたジョギングから、数年後にはウルトラマラソンに挑戦されたという藤田慎一郎様。
ウルトラマラソンを人生にたとえ、あえて苦しさを味わうことも人生には必要であり、仕事にも生活にも生きていると語っていただきました。アマチュアランナーでありながら、ウルトラマラソン、トレイルランを通じて、充実した人生を歩む藤田様にお話しを伺いました。

藤田慎一郎様が参加された主なレース(予定を含む)
2013年 四万十ウルトラマラソン100km
2014年 野辺山高原100kmウルトラマラソン
2015年 美ヶ原トレイルラン80km
ハセツネカップ71.5km
2016年 スパトレイル72km
上州武尊スカイビューウルトラトレイル129km
2017年予定 スパトレイル(6月)
おんたけウルトラ100km(7月)
TDS(8月)
小海100(9月)

健康のために、ジョギングから始められたとお聞きしました。

私はそれまでスポーツ自体ほとんど経験がなく、2010年ごろ、健康のためにジョギングから始めました。走っているうちに楽しくなり、走り始めて1年ぐらいで「青梅マラソン」(30キロ)にチャレンジし、その後、フルマラソンを飛び越え、四万十ウルトラという100kmのレースにでてしまいました。そして、ウルトラマラソンと呼ばれる100キロ以上のマラソンやトレイルランに魅せられ、現在はそうしたレースに年に何度か参加させていただいています。

マラソンよりもさらに過酷なウルトラマラソンに挑まれたのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか。

あくまでイメージですが、42.195キロのマラソンは、基本的にタイムを競うものなので、ずっと同じペースを保ちながら走るわけですが、それがなんとなく辛い気がしました。100キロ以上のロードレースやトレイルランは、同じ距離であったとしてもコースによってタイムは全然違いますし、そのときの状況によっても大きく違います。
また、100キロともなると、一定のペースで走り続けるのは私には不可能ですから、途中で休んだり、歩いたり、レース自体を楽しみながら参加しています。第一、トレイルランは、上りの坂道で走ることなどできませんから。

100キロのロードレースは本当にきついですが、この苦しさを乗り越えることができれば何でも乗り越えられる気がします。レースが終わったあとのお風呂や食事は充実感でいっぱいになりますし、普段からストレスを自分自身に与えておけば、ストレス耐性もつき、なんでもできる気がします。

ウルトラマラソンの魅力を教えていただけますか。

まず言えるのは、100キロ以上のロードレースに参加する人たちは、練習を積み重ねてきた人しかいないということです。中途半端な気持ちで参加することはできませんから、この日のために準備し続けてきた人たちの集まりです。スタートラインに立ったときの雰囲気といいますか、この人たちと同じスタートラインに立っているというだけでも参加してよかったと思えます。
ですから、参加者は年代も幅広く、心身ともに充実されている40歳代、50歳代のベテランの方々もたくさんいらっしゃいますし、女性もかなり多く参加されています。
おかげさまで新しい友人もたくさんできました。みんな同じ目標をもっていますから、一緒に練習したり、コミュニティをつくったりしています。
みなさんストイックで、勉強熱心ですから、得るものもたくさんあります。

お仕事への影響もありましたか?

私は写真家で、昔、縄文杉の撮影をしたことがありましたが、そのときは肉体的にも精神的にもつらかったのですが、写真家としてのテリトリーも広がったと思いますし、今なら体力的にも大丈夫だと思います。

競技中、または練習中の栄養補給について教えていただけますか。

100キロともなると10時間以上かかりますので、私には、少なくとも1時間に100キロカロリーの栄養が必要です。走っているときは、タンパク質は不要で、糖分とミネラルが大切だと思います。
粉飴の場合だと、水100CCに粉飴250gを溶かし、乳酸菌飲料(濃縮)60CCとレモン汁でフレーバーをつけて、ゼリー状によく混ぜます。粉飴は1グラムで約4キロカロリーなので、これで約1100キロカロリーの栄養分は確保できます。
目安として1時間に100キロカロリーをベースに摂取するようにしています。大切なことは、必ず1時間おきに摂取することです。体に入れても消化・吸収するのに時間がかるからです。2時間おきに倍のカロリーを摂ってもだめです。実際のレースでは、タイマーをセットして、45分に100キロカロリーを摂るようにしています。
その点、粉飴は他の食品と比較しても吸収が早く、すぐにエネルギーになってくれますから、非常に重宝します。
ただまとめてゼリー状にしておくと、一度にどれだけ摂ったか分かりにくいので、本当は小分けにしたほうがいいと思います。私も、5個パックになっているパンを利用することもあります。

栄養補給に関しては、個人によって差があるものですか。

栄養補給に関しては、トップ選手でも、様々なお考えをお持ちです。個人によっても適しているものとそうでないものもありますから、自分に適したものを選ぶことが大切です。おにぎりがいいという人もいれば、菓子パンがいいという人もいます。第一、好きなものでも、丸一日同じものを摂っていたら飽きてしまいます。

他に何かこだわられていることがありましたら教えてください。

ウェアにはこだわるようにしています。発汗も激しいですから、天候や状況に応じた、ウェアリングを含めた準備はとても大切です。
特にトレイルランは、山登りの要素も含めたレースですから、自分で様々なことをマネジメントしなければなりません。食料はもちろん、ファーストエイドキットと呼ばれる自分を守るためのものは自分で準備しなければなりません。

貴重なお話、ありがとうございました。

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